3月7日、京都にある富士ゼロックス京都株式会社を訪問し、『蓼科日記』全18巻の完全複製の製作をお願いしました。
これは、富士ゼロックス京都株式会社の「複製古文書作成による文化推進活動」の趣旨と、当方の「日記の経年劣化の防止と、誰でも手に取って読める状態をつくりたい」との趣旨が一致して始められるプロジェクトです。
ご承知のように『蓼科日記』は、昭和29年8月、野田高梧が蓼科・雲呼荘に来たときに、冒頭に「この山荘に来訪された方は かならず この日記に何か お書き留め下さい」と書いて始まった、小津安二郎を始めとする様々な映画人による「集合日記」です。
執筆者は、野田、小津を始めとして、新藤兼人、山内久・玲子夫妻、井上和男、山内静夫、宮川一夫、佐田啓二、池部良ほか、当時の錚々たる映画人に加え、山荘に来た「非」映画人も含めて数十人にのぼる方々の「一大記録絵巻」です。
合わせて、文中には主に小津の手になる折々のスケッチや、巻末には野田の手になる山荘内のスナップ写真とコメントが添えられ、いま読んでもまことに興味深く、貴重な「映画史」であるとともに、たいせつな「戦後史」の記録でもあります。
先年(2013年)『蓼科日記・抄』が発刊されましたが、諸般の事情で全体の6分の1の抄録にせざるを得ず、発刊直後から「全体を読みたい」「出来れば原本を読みたい」という声が多数寄せられ、当館でもその方法を模索してきましたが、なにぶんほぼ全編鉛筆書きのために経年劣化が激しく、原本の展示もごく限られた部分に限定せざるを得ないのが実情でした。
しかし、このたび、その優れたデジタル技術で多くの古文書の複製を手掛けておられる富士ゼロックス京都様のご理解とご協力をいただき、『日記』全巻の複製をお願いできることとなりました。
これにより、研究者やご来館のみなさまに、限りなく原本に近い状態で『蓼科日記』を手にしていただけるようになりますことをご報告させていただきます。
併せて、富士ゼロックス京都のみなさま、またご協力いただいた蓼科映画祭の関係のみなさまに厚くお礼申し上げます。
新・雲呼荘 野田高梧記念蓼科シナリオ研究所
代表理事 山内美智子
理事 渡辺千明
〔『蓼科日記』複製プロジェクト・サポーターのお誘い〕
『蓼科日記』複製プロジェクトでは、複製作成に要する経費に関して、広くみなさまに「サポーター」としてのご参加を呼び掛けることとしました。
富士ゼロックス京都様からのご請求は、材料費のみという破格の条件ですが、それに伴う経費がどうしても多々発生いたします。
そこで、プロジェクトのスタートにあたって、以下の条件で、総額50万円を目標として「『蓼科日記』複製プロジェクト・サポーター」を募集いたします。
日本映画史上の“宝”ともいうべき『蓼科日記』が末永く読み継がれますよう、みなさまのご参加を心からお待ちしています。
〔条件〕一口を1000円として、一口以上のご寄付をいただいた方。
*ご寄付いただける方は、お名前、ご住所、メールアドレス、口数をお書きになった
FAX、もしくはメールを以下にお送りください。
宛先:FAX:0266-67-2058
メール:noda-tateshina@tw.drive-net.jp
〔優遇措置〕1.記念品として『蓼科日記』表紙をあしらった絵葉書をお送りします。
2.来年度、新・雲呼荘にて予定している「全18巻複製」引き渡し式、および「お披
露目」へのご招待状をお送りします。
3.最終巻、複製「第18巻」に添付を予定している、「サポーター名簿」にお名前を掲載
させていただきます。
*なお、会計報告をプロジェクト終了後にお送りいたします。
銀行口座
諏訪信用金庫 北山支店 普通預金0109156
三井住友銀行 成城支店 普通預金3880706
名義は、いずれも「一般社団法人野田高梧記念蓼科シナリオ研究所」です。
なおご入金を確認次第、領収証をご住所宛にお送りします。